漢方相談室より

漢方薬局店主による雑録です。肩の力を抜いてご覧いただければ幸いです。

誰の利益?(2)

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それから程なくして一本の電話が入った。(誰の利益?(1)の続き)

「おかげさまで、衝撃の事実が分かりました!」

 

糖尿病専門医に診断を仰ぎ、教育入院を経て、新たな事実が分かったのだと言う。

”クッシング症候群”


それは、副腎にできた腫瘍(良性)が原因で、コルチゾールというホルモンが過剰に分泌される病気だ。コルチゾールステロイドホルモンであるため、ステロイド薬の副作用と同様の症状に悩まされることになる。

顔がまんまるになり(ムーンフェイス)、手足が細いわりに体幹部に脂肪がつきやすくなる。筋肉の脱力感、血圧や血糖値も上昇する。

すべてが腑に落ちた。

この病気は骨ももろくなるため、骨折しやすくなる。そもそも、この方の骨折は整体治療院での施術に、もろくなった骨が耐えられなかったことによると考えられる。

 

電話口の向こうからは感謝の言葉が絶えないが、、、どこか心苦しい面もある。

食事や運動の指導という名目で、様々な制約を強いてきた。そして、、、

「そんなに食べてないんですけれど・・・」

こんな自己防衛もさせてしまった。今思えば、本当にそうだったのかもしれない。気の毒なこと言ったな。。。

何事にも謙虚な姿勢が大事。

漢方は有効な治療手段だが、それに固執することがあってはならない。必要とあらば、病院での検査を促す。また、現在治療中であったとしても、腑に落ちない点があれば、医師に説明を求めることや、場合によっては転院や再検査を促す。

どんな時でも、患者さんの利益が第一である。

そのためにも、正しい認識をもち、その時、その方に何が最善かを考える。。。

  

今後とも精進します。